学生応援メディア
AIは最強のヘヴィメタルに繋がるかもしれない
2020.02.27
AI、ディープラーニング、自動生成――
なんでもかんでもAIとつければ最先端! 色んなものにとにかく利用してみよう! というフェーズになっているような気がします。
とはいえ、上手くマッチするのは他の技術と同じくごく一部だろうな……と考えております。
そんな中、AIとベストマッチする分野の1つにヘヴィメタルがあるのでは? と気付かされたyoutubeチャンネルがあったのです……。
AIで自動生成され続けるヘヴィメタル
それがニューラルネットワークを用いたヘビィメタル自動生成チャンネル”DADABOTS“です。
公式サイトによれば
“Mischief”(いたずら)
の為に作られたという存在理由そのものがロックなコイツ。
ヘヴィメタルを普段聴かない方こそ聴いてみて頂きたい。
……どうです? それっぽいでしょう?
あっ、メタルヘッズの皆さんは暴れないで! これでベストマッチと言うつもりかとか言わないで!!
でもこういう「ヘヴィメタルめいた音楽」が
“24/7 to infinity”(週7日24時間、永久に)
配信されているってのはアツいものを感じませんか?
AIが完成された音楽や物語を作る難しさ
AI/ディープラーニングを用いて音楽や物語――芸術を生み出そうという試みはこれまでも山ほどありました。
例えば、Botnik Studiosが2017年にAIで自動生成した
“Harry Potter and the Portrait of What Looked Like a Large Pile of Ash”
(ハリー・ポッターと巨大な灰の山に見える肖像画)
https://botnik.org/content/harry-potter.html
(リンク先英語)
では、『ハリー・ポッター』シリーズ(Bloomsbury Publishing/静山社 J・K・ローリング著)をラーニングさせ、似た作品を作りだそうとしました。
結果それらしい文体にはなったものの、脈絡なくキャラクターが幽霊になったり、タップダンスを始めたりと「きちんとした物語」としての完成度は怪しいものでした。
AIの脈絡なさを許容する音楽
上記の通り、しっかりと順序だった作品を作ろうとすると未だ課題は多いです。
しかし、テンポの急激な変化を良しとし、美しい旋律ではなく、腕が千切れんばかりの高速演奏が美徳とされる音楽ジャンル……ありますよね?
そうです。ヘヴィメタルです。
いやっ、すいませんだからそのメタルヘッズの皆さんはヘヴィメタルの定義とかで怒らないで!!
とてつもない高速テンポの曲も数多く作られ、リズムの法則性などないかのように見えるヘヴィメタルは、まさに「疲れ知らずで脈絡知らず」のAIの気質と上手く合致しています。
AIは腱鞘炎にもならないですしね!
ヘヴィメタルは自然言語処理の課題を無視できる
言うまでもないことですが、楽曲の中にボーカルパートが存在し、歌詞を歌っている……というのは流行歌の中ではかなりスタンダードな作りですよね。
だからといって、よし! じゃあボーカルパートもAIで自動生成だ!
と意気込んだとしても、前述の通り。
AI独力で筋道がしっかりした物語性のある歌詞、もとい文章を自動生成するのはまだまだ難しいです。
となればどうすれば良いか。
そもそも歌詞が聞き取りにくいジャンルの楽曲なら良いんですよ!
「下水道」と形容されるガテラルボイス、「豚の鳴き声」ピッグ・スクィール、「金切り声」のスクリーチ――
そういった歌唱法が多用される楽曲は、「歌詞を全て最初から聴き取らせる」ことが目的ではなく、ドラムやベースと同じく楽器としての声が強く出されています。
(一家言あるメタルヘッズの方お待ちしてます)
であれば、バチバチな歌詞を作らなくともそれっぽく聞こえやすくなるということ!
しかもAIはポリープできちゃって手術! ライブ中止! なんてこともない!
AIの弱点をカバーできる音楽性=ベストマッチ?
無論、現状のDADABOTSは完璧で最高だ! と叫ぶつもりはまだありませんが、見事に機械学習の課題を無視、あるいは長所に転ずることができるヘヴィメタル。
「AIx芸術」という最難関を突破する一番槍になってくれるのではないかと期待しています。
ちなみに私はこのあたりのジャンルだとJIG-AIが好きです。断じてAIとかけた洒落ではありません。
いつかAIの人間離れしたライブでヘドバンする日を夢見て……
(サムネイル:九里藍人)