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暇つぶし在宅語学のススメ

2020.06.22

著者情報

竹下りや

竹下りや

高専で生物化学を学んだのち進学した大学院で言語情報学を研究している、20近くの外国語を学んだ(≠覚えた)語学オタク。好きな文房具は付箋。

こんにちは。竹下りやです。

昨今の事情を鑑み、まだまだ外出を控える動きが強いですよね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

暇ではないですか?

こんなときには趣味に没頭して過ごすのが楽しいですよね。

私の話をさせていただくと、私は語学が趣味でこれまでに20近くの言語を学びましたが、語学は暇つぶしの趣味としては低費用・高還元だと考えています。

語学の初等的な文法書 + 単語帳で5000円くらい、ネットの情報を参照しながら勉強するとそれだけで半年くらいは楽しめますからね。

それにもし気に入れば学習を続け、他の人が持っていないスキルと個性を手に入れる
ことができる

それはすごく素敵なことだと思うのです。

Q.でも、語学って難しいでしょう?

A.やってみなくちゃ分かりません。

私も語学が趣味とはいえ、言語自体の難しさ、本のわかりにくさ、ネイティブスピーカーや教材の少なさ、モチベーションの保ちやすさによって異なる言語の間で大きく難易度が変化するのを感じることがよくあります。

なので、やってみなけりゃわからないというのが正直なところです。残念ながら。

しかし! 傾向として「こういう言語は長続きしやすい」「このやり方なら挫折しにくい」というものはお伝えできるので、今回はその話をしようと思います。

今回お伝えするのは以下の点です。
1.語学の難しさと簡単さ
2.語学の覚え方
3.語学の楽しみ方

語学の難しさと簡単さ

「語学は難しい」「英語すらままならないのに他の言語なんてとんでもない」

そう思う人が(特に日本では)多いと思います。

日本は島国であり、単民族国家(厳密には違います)と叫ばれ、たとえばヨーロッパの国々などの多くの外国と交流がある地域とは語学に対する意識が違うのは当然と言えるでしょう。

しかしそれは飽くまで意識の話。実際にやってみれば意外と簡単だったりするものなのです。

私は「語学が趣味なんてすごい、難しいのに」と言われたときに、(この人は語学をやった上でそう言っているのだろうか……)と思うことがよくあります。

やってみてください。意外と簡単なので。

とはいえ、ときどき実際にやった上で「難しい」と判断する人も少なからずいるようです。そういった人が共通して言うのがこういうことでした。

覚えることが多すぎる

それはそう。私の手元にある薄めの入門者向けの単語帳でも、500語程度の単語を載せています。

覚えるのが好きな私ですらこれを覚えるのは一苦労です。

これに加え、文法を把握し、適切な形に単語を変形させて……

これが「語学の難しさ」だと私は考えています。

これに対する私なりの解決策がこちらです。

最低限だけ覚える

言語の文法というものは使用される言語の原則を示したもので例外が山程あり、それを「不規則変化」などと言ったりするから文法事項が膨大に感じられるわけです。

そんなものの暗記はすっ飛ばして、さっさと入門書を一冊流し読みしてしまいましょう。もし忘れたときはまた見返せばいいのです。

単語についても、書店に並ぶ単語帳は本としての体裁を保つためにそれなりの厚みが必要なので、それほど使わない単語も載っていると考えられます。

たとえば、「りんご」。外国語を学ぶと何故かやたら最初の方に出てくる単語なのですが、我々が日常日本語を話す上で「りんご」という言葉を発するのは一、二週間に一回くらいではないですか?

「りんご」よりも「勉強する」「眠い」「とても」などの単語を覚えるべきなのです。

では、具体的にどのような単語を覚えればいいのか?私の思う「最低限の単語」は以下のものです。

・「私は」「あなたの」などの人称代名詞
・「これ」「あの」などの指示代名詞
・「~から」「~を使って」などの前置詞や助詞
・「何」「いつ」「どこ」などの疑問詞
・「話す」「書く」「読む」「聞く」「勉強する」
・「とても」「すこし」
・「日本」「日本人」「日本語」

これだけは頭に入れておきましょう。
無論、これだけでは全然足りません。
でもいいのです。
使うときに辞書を引いて覚えましょう。

これなら、「語学って簡単かもしれない」と思えませんか?

あと、「簡単な言語からやりたい」なんて思うかも知れませんが、自分の興味のある言語からやったほうが結果的に楽しめると思います。

好きな国や文化圏があれば、迷わずそこにしましょう。

語学の覚え方

私は残念ながら、読み書きはそこそこ得意な一方、会話についてはまだやり方を模索している段階ですが、その中でも特に、少しずつ効果を実感しつつある勉強法、それは

ネイティブの方と実際に話して使うことです

いや、身の回りにスペイン語ネイティブおらんし、と思ったアナタ、大丈夫、今は便利な世の中、殊にインターネットの力は偉大なのです。

「言語交換アプリ」と呼ばれるスマホアプリでは、「〇〇語を勉強したい日本語ネイティブ(私たち)」と「日本語を勉強したい〇〇語ネイティブ」をマッチングして、チャットやボイスメッセージを送り合う事ができます。

翻訳やメッセージの合成音声による読み上げ、中国語のピンイン変換などの機能も充実していて言語学習の強い味方になってくれます。

下手でも自分の言語を使おうとしているのが嬉しい。だから恥ずかしがらなくていいのです

相手も日本語や日本のことが好き、私達もその国やその言語に興味がある、異なる文化圏の人が言語を交換することで言語を勉強するだけでなく、互いに尊敬と感謝の気持ちを抱くことができる。素敵ですね。

語学の楽しみ方

皆さんの思い思いに楽しんでいただければ、と思うのですが、私なりに語学の面白みを語ります。

では、まずこちらをご覧ください。

“Lorsque j’avais six ans j’ai vu, une fois, une magnifique image, dans un livre sur la Forêt Vierge qui s’appelait “Histoires Vécues”. Ça représentait un serpent boa qui avalait un fauve. Voilà la copie du dessin.”

(Antoine de Saint-Exupéry Le Petit Prince 1943 より引用)

これはフランス語で書かれたサン・テグジュペリ『星の王子さま』の原文の一部です。

おそらく、フランス語を学んだ経験がない方はさっぱり分からないと思いますが、この作品が童話であることもあり、実は文学としては比較的平易なフランス語で書かれているので、少し勉強すれば「あっ、ちょっと分かる! 全部は分からないけど!」という水準にまでは達することができるでしょう。

あるいは、韓国語のハングルやアラビア語のアラビア文字を書いているとき、少し前までは記号のようにしか見えなかったものが音声や意味と結びつく快感。

あるいは、ニュース番組で流れる外国の首脳が話す外国語の単語が一個だけ分かった嬉しさ。

そういった、「ネイティブじゃないからこそ得られるちょっとした喜び」こそが語学の面白みだと思っています。

それを得るには別にその言語を極める必要はなくて、好きなときに好きなだけ語学をやって、結果的に「ちょっと分かる」ようになれば十分なのです。

時間がある今、語学の舟に乗ってちょっとした小旅行をしてみてはいかがでしょうか?

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