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インドア地獄の副産物――オンラインクイズ大会 企画編

2020.05.14

著者情報

井上 修平

井上 修平

九大2年。ディベートとクイズが好物。アイドルオタクと博物館美術館巡りというダブルお金のかかる趣味により年中お財布に優しくない生活を送っています。

大学入学当初は「学問第一」のつもりだったのですが、いつの間にかいろんなことに手を出して、気づけばそんな標語は水平線の彼方に沈んでしまいました。

そんな私が大学で新たに手を出したものの一つが競技クイズ。最も知識のある人間がエラく、最も早くボタンが押せる人間がエラい。イキるのが大好きな私には快感でたまりません。あらゆる方面においてスケジュール管理が人知を超えて杜撰な私もクイ研の活動は皆勤です!

この春だって寝ても覚めてもクイズ三昧! ……という堕落した生活を送りたかったんですが、憎っくき某感染症蔓延るこのご時世、みんなで集まってワイワイクイズなんてできたものではなく、サークルや大会は軒並み中止。おのれバイキン許すまじ。

手軽にクイズが楽しめるスマホアプリも人気の昨今ですが、やはり大勢でするクイズに比べればちょっと刺激に欠けます。やはり大人数でボタンを押し合うのがクイズの醍醐味というもの。この感覚はクイズプレイヤー皆一緒。Twitterを開けばタイムラインではクイズ猛者達がクイズクイズクイズ……。まるで地獄絵図です。

そんな中、先月18日に行われたのがオンラインクイズ企画『BFF ~Beat of 浮揚 不朽~』。我々企画も参加も初めての全く新しい試みです。

そんな未体験の企画に飛び込んだ私の体験記を綴っていきます。

企画者手記

クイズと美学

さて、唐突ではありますが私は結構「美学」というものを大事にする人間でして、毎度作問にあたってもそういった美学に基づいた作問に努めています。

無論今回もです。その美学というのは、クイズで聞いた単語、得た知識は単なる暗記事項としてではなく世界の中の一つの意味のある事象としてきっちり頭に残したい、また私の作る問題がそれを見た人々とってそういうものとなってほしいという意識です。

あえて数問のベタ問(頻出問題)は混ぜましたが、ほとんど全ての問題に対し一問一問愛を込めて作問を行いました。後日何らかの形での公開を予定している今回の企画の記録集には「備考」という欄があると思いますが、ご一読くだされば嬉しい限りです。問題文には納まりきらなかったその事象に対する愛を綴っています。

愛と文字数のバランス

クイズの作問というのはなかなか苦しいもので、好きな人物だとか好きな作品だとかそういったものになればなるほど詰め込みたい知識、皆に知って欲しい事象が多くなります。

が、普通のクイズの問題として許容される文字数はせいぜい100字前後がいいところ。

その中に込められる情報は2つか3つが関の山です。

しかも自分がその事象を好きである理由というのは情報としてはさほど重要とはいえないものだったりします。

そうなると「簡潔でわかりやすく、かつ導き出せる答えをただ1つに限定させる」というのが重要になるクイズの問題文では自分の伝えたい知識はどれほども伝えられないのです。

そんなに詰め込みたいなら多少無理をしてでも情報を詰め込めばいいじゃないかと思うかもしれませんが、そうして作問が単なる自己満足に等しいものになってしまうのも私の頑固な脳が善しとしない。

まさに断腸の思いで「普通」と言えるような問題に仕上げるのです。

そんな私のパソコンにはうまく成文化できなかったために日の目を見ることがなかった駄文たちが眠っています。

今回の企画にあたりそれらの供養をしようと思い、今一度成文化を試みました。

奮闘の結果ほんの一握り、数にして7問の問題の蘇生に成功しました。こうした問題を含め今回の企画に私が送り出した問題は116問。

作問の喜び

先述の通り私は作問に大きな意味を見出しているので、企画にあたっては自分の問題に参加者が素晴らしい押しで応えてくれることが最大の喜びになります。今回特に印象に残っている2問を実際押されたところまでお見せします。(答えと問題文全文は記事の最末尾に掲載)

「団員はギムナジウムを卒業するか声変わりを迎え/」

「イラン発祥の宗教であるため、イランの伝統継承を重視/」

下の問題は上述の7問のうちの1問です。どちらの問題もここで正解を出して頂けるとは思っていなかった問題なので、正解が出た瞬間は歓喜して拳をめちゃくちゃ強く握りました(問読みをしていたため声に出しては喜べませんでしたが)。

全てについて言及はしませんが、他にも今回の企画では作問者としてとても嬉しい押しをたくさん見ることができました。愛を込めた問題群に向き合って頂いた参加者の皆様には本当に感謝です。

インドア地獄が生み出した変化

今回の企画で、私は「案外オフライン/リアルのイベントと変わりなく開催できる」ということに気づきました。

ちょっとした外出もままならない昨今、ありとあらゆる事物のオンライン化が急がれています。

寂しい、やむを得ない……というマイナス寄りの評価が多くなっていますが、我々クイズプレイヤーのように、ンラインでの企画という可能性をほとんど想定していなかった界隈にとっては「お? やってみたら案外オンラインでもいけるな?」という発見・発展の機会にもなりうるのではないでしょうか。

次の記事では実際に開催した振り返りを詳しく行っていきます。

問題文全文と答え

団員はギムナジウムを卒業するか声変わりを迎えると即退団となる、ソプラノとアルトのみで構成され、「天使の歌声」の異名を取るオーストリアの合唱団は何でしょう?
→ウィーン少年合唱団

イラン発祥の宗教であるため、イランの伝統継承を重視したササン朝ペルシアでは国教とされた、聖典『アヴェスター』に基づきアフラ=マズダを崇拝する宗教は何でしょう?
→ゾロアスター教

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