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これで試験は負け知らず!? 記憶力選手権の選手が使う記憶術の話

2019.10.01

著者情報

ゆうろい

ゆうろい

ロクヨリ編集。100人に1人が気になる雑学をゆるっとお届けするよ。※著者画像はイメージです

 やあ、ボクだよ。

 漫画やアニメで、インテリ系のキャラクターがよく持っている凄まじい記憶力。
 数字を何百桁も覚えていたり、分厚い本の内容を丸ごと暗唱できたり。
 試験が近くなると猛烈に欲しくなる特殊能力だよね。

 今回は、すぐ試験に役立ち……はしないと思うけど、記憶力選手権の選手達もよく使っているとてもポピュラーな記憶術を紹介したいと思う。
 才能も地頭の良さもいらないから、騙されたと思って一度試してほしい。

 その名も、場所法という記憶術だ。

 メモリースポーツに慣れ親しんでいる皆、怒らないでくれ。もったいぶった挙句その程度かとか言わないでくれ。トランプを投げつけないでくれ。二進法の数列を投げつけるのはもっとやめてくれ。ボクはあの種目が破滅的に苦手なんだ。

場所法とは?

 さて、本題に入ろう。
 場所法というのはそもそも、
「単語や数字の羅列は覚えにくいけど、具体的なイメージなら多少は覚えやすいよね」
 という発想が基になっている。

 まず、最も大切なステップだ。
 自分がすぐに思い出してイメージできる場所を考えてほしい。
 大体の人は家や部屋の中になるんじゃないかな。
 そこで、自分がよく行う動きをそのままイメージしてみよう。
 ボクの場合は以下の通りになる。

 まず扉の前に立って、ドアを開ける。
 靴を脱いだら廊下を抜けて椅子に腰掛ける。
 目の前のPCを起動して、何はともあれ動画サイトにアクセスする。

 と、ここまでの動きが、ボクの典型的な帰宅時の動きだ。

 幸いなことに飲みに誘われることもほとんどないから、この動きが乱されることは稀だ。
 何度もやっている動きだから、すぐに思い出すことができる。
 ちょっと涙が滲んできてしまったけど、別に寂しいとかそういうわけじゃないから安心してほしい。

 さて、皆も自分が慣れ親しんだ場所でよく行う動きがイメージできたと思う。
 次は覚えるべきものを決めよう。
 何でもいいけど、とりあえずボクのデスクにあるものを参考までに挙げていくよ。

 ペットボトルのお茶、財布、ティッシュ、ボールペン、チョコレート、ハサミ

 後は最後のステップだ。この2つのイメージを紐つけてみよう。
 中々説明が難しい部分だから、実際にやってみるよ。

場所法、実践

 覚えるべきものは、ペットボトルのお茶、財布、ティッシュ、ボールペン、チョコレート、ハサミだったね。これを念頭に置いて、普段の帰宅ルーチンを想像するんだ。

 まず、いつも通り扉の前に立ってみるんだけど、不思議なことに気付く。
 なんと、ドアのデザインがお茶のペットボトルそっくりになっているんだ。
 次に、ドアノブを握るとまた変なんだ。
 ドアノブが財布になっている。
 変だなと思いながらもドアを引くと、普通に開く。
 そこで靴を脱ごうとすると、今度は靴がティッシュの箱になってるんだ。
 脱ぎにくいなぁと思いながらもなんとか脱いで廊下を抜けると、今度は椅子がハリネズミみたいに大量のボールペンで串刺しになっている。
 他に座るところもないから無理やり座って、PCを起動しようとする。
 もう想像がつくんじゃないかな。
 PCが溶けたチョコレートまみれでベトベトになっているんだ。
 でも普通に起動できてしまう。
 そのまま普段通りに動画サイトに行くと、おすすめされている動画は全部ハサミの使い方
 ……というわけさ。

 イメージは掴めたんじゃないかな。
 洒落た言い方をしてしまうけど、
「日常的にやっているルーチン作業を、覚えるべきもので思いきり非日常にしてしまう」
 というのがポイント。
 同じイメージをする時でも、なるべく派手にするのがコツだね。
 例えばさっきのイメージなら、
 PCの上に板チョコが乗っているだけだと地味ですぐ忘れてしまうかもしれないけど、2年の分割払いで買った愛しのハイスペックPCがチョコレートまみれになっている、というイメージなら、ショッキングで中々忘れそうにないだろう?

練習あるのみ

 正直なところ、方法自体はそこまで難しくはないけれど、試験や講義で使われる概念をイメージ化するのが大変なんじゃないかと思う。

 想像力の鍛錬と慣れでしか解決できない部分だから、本気で使いたい人はこまめに何かを覚えるときに使ってみてほしい。

 ちなみに記憶力を競い合うメモリースポーツの選手たちは、00から99までの100種の数字それぞれに予めイメージを紐つけておいて、高速で思い出せるようにする工夫をしていたりするね。

 例えば、91はお気に入りの野球選手の背番号だから、必ずその人を思い出すようにするとか、64はムシと読めるから必ずカブトムシをイメージする……というような決まりだね。
 ここで大切なのは、毎回同じものをイメージするってことだ。
 この前は64でカブトムシをイメージしたけど、今回はクワガタムシをイメージしよう……
 なんてことをやっていると、いつまでたっても高速でイメージできるようにならないし、正確性の面でも問題が出てきてしまう。クワガタムシって何の数字と紐つけていたっけ? というように思い出せなくなってしまうわけだ。

 極端な例を出してしまったけれど、これは皆が試験で場所法を使う時にも同じことがいえる。
せっかく難しい専門用語を明確にイメージ化できるようになったのに、毎回そのイメージが少しずつ違うようだと良くない。

 そもそも場所法は、100の情報を10の労力で記憶できるようにする……ものではないんだ。
 ここまで読んでくれた人は分かると思うけど、元々どう頑張っても10の情報しか記憶できなかった人が、100の情報を記憶できるようになるための手段なんだ。
 即効性は全くないし、地道な練習が必要になってしまうけど、誰か1人でも真剣に場所法に取り組んでくれる人が生まれたら嬉しいな。

 じゃあね。

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