意識普通学生へ。 
学生応援メディア
ホーム

競技クイズで青春を。福岡合同例会イベントレポート

2019.10.18

著者情報

クヌウリ

クヌウリ

ロクヨリ編集長。カードゲームとMMORPGで生きているオタク。皆様が「自分らしく」就活を乗り越えて欲しい。

市民センターに集まった学生達が醸し出す雰囲気は、どことなく試験前に似ていた。
とはいえ、聞こえてくる会話はとても試験前とは思えない雑多な内容ばかりである。
後桜町天皇、エルバート山、アマルガム、ドーリア式……。
この雑学のるつぼ感が、私を高校生時代に引きずり戻した。

あぁ、私は競技クイズの会場に戻ってきたんだ……と。

取材に行った結果ノスタルジックな気持ちで一杯になってしまい、ついついポエミーな書き出しをしてしまいました。

はい。本日は福岡市内を中心に活動する学生クイズ団体(例会)、福岡合同例会のイベントにお邪魔させて頂きました!
皆様をクイズの世界へご案内すべく、競技クイズの基本的な概念の解説と、福岡合同例会について執筆して参ります。

そもそも競技クイズって何?

皆さんも一度はクイズ番組をご覧になったことがありますよね?
早押しでボタンを押して解答するやつです。
あの早押しクイズをスポーツ的に突き詰めてやってやろう、というのが競技クイズです。
例を挙げていきましょう。めちゃくちゃ簡単な奴でいきますね。

問題。
「交通信号機の点灯色といえば、赤色、青色とあともう1色はなんでしょう?」

答えは言うまでもなく黄色です。皆さん答えられましたよね?
ですが、競技クイズの世界ではもう一歩進んだバトルをしていきます。
答えられることは前提として、「問題の答えが1つに確定した瞬間に答えられる」ように頑張るんです。
つまり、先程の問題で言うなら
「交通信号機の点灯色といえば、赤色、あ――」
くらいまで読まれた段階で答えられるようにする、ということです。
信号機の色は赤、青、黄しかありませんから、2色が問題文で示された段階で答えが1つに確定します。
なので
「交通信号機の点灯色といえば、赤色、青色――」
と読まれた段階で答えられるのが分かると思います。
しかし、もう一歩切り詰めて考えると、
「交通信号機の点灯色といえば、赤」
と言われた段階で答えは青か黄に絞られますし、
それぞれ頭文字は別の音ですので、
続いて「あ」と読まれれば青色のこと、「き」と読まれれば黄色であることが確定できますね。
なので、上記の通り、
「交通信号機の点灯色といえば、赤色、あ――」
と読まれた段階で答えられるという訳です!
これを競技クイズでは「確定ポイント」と呼びます。

別競技の似たような概念としては、百人一首の「決まり字」がかなり近いと思います。
百人一首かるたをする時に、
「あさぼらけ あ――」
まで読まれれば、対応する札は
「よしののさとに ふれるしらゆき」
の1つしかなくなるので、最後まで聞かなくても取れるということですね。

このような形で、「より難しい問題を、より早く答えられるように」研鑽していくのが競技クイズの世界です。

競技クイズのイベント(例会)の流れ

今回は実際に取材させて頂いた福岡合同例会を例に挙げながら、競技クイズの流れ、形式についてご説明していきます。
私が取材させて頂いた日には、高校生の方々が企画した厨二病テイストマシマシの企画、”Life After”が開催されておりました。

ペーパー

いわゆる筆記試験のような形で行われるクイズです。
前述した早押し「確定ポイント」の要素が除外され、純粋な知識量勝負になります。
多くの競技クイズで一番初めに行われ、後の企画のグループ分けや足切り等、多くの用途に用いられます。
今回の企画では、Chapter1 “出発点”(グラウンドゼロ)という名前で一番初めに行われました。
ちなみにグラウンドゼロとは、英語で爆心地を意味します。
出発点と爆心地って何の繋がりがあるの? と思った方、心の小中学生が足りておりません。繋がりを感じていきましょう。

mOnX

Oの前にある数だけ正解すれば勝ち抜け、Xの前にある数だけ不正解してしまうと失格という形式の早押しです。
代表的なものとしては5O3X、7O3Xがあり、
それぞれゴマルサンバツ、ナナマルサンバツと呼びます。
漫画、アニメのタイトルにもなった形式なので、聞いたことある方もいらっしゃるかもしれませんね。
5O3Xであれば、5回正解すれば勝ち抜け、勝ち抜ける前に3回不正解だと失格になってしまうという訳ですね。
正解する数だけではなく、不正解の数にも条件を設けることで、
「常に誰よりも早く押して、分かるかどうかは回答権を得てから考えよう」
という早押しクイズの本質をやや見失った戦術を抑制したり、
「後1回で失格だから、確実に分かる問題だけにチャレンジしよう」
「正解の自信はあまりないけど、まだ不正解していないから勇気を出して押してみよう!」
といった、状況に応じた戦略性を生んでくれる非常に優れた形式です。
テレビ番組でも有名な、不正解時に1回休みになり、先にn回正解した方が勝ち……というルールもこの形式の変形と言えますね。
今回の企画ではChapter2 “特異点”(シンギュラリティ)Chapter3”伏魔殿”(パンデモニウム)で用いられ、本戦前のふるい分けになりました。
ダイレクトに実力が出る最もシンプルな形式だからこそ、競技クイズにおいては必ずといっていい程登場しますね。
ところで私はパンデモニウムと聞いた瞬間に、某カードゲームの凶悪コンボカードのことを思い出してしまったのは秘密です。

択一式

「△△は□□である。OかXか?」
で有名な、名前の通り択一式で回答を選択するものです。
テレビ番組でもよく、
「Oだと思う方は線のこちら側、Xだと思う方は線の向こう側へ集まってください!」
という形式で行われていますね。
上記でお分かりの通り、人数が多かったとしても正誤の管理がし易いのが大きなメリットになります。
ちなみにメタ的な戦法になりますが、会場の選手が
「択一式は答えだったら面白い方が答えだよ」
とチームメイトに教えていた姿が印象的でした。
実際に今回の企画でもSide Story -最後の審判-(ラスト・ジャッジメント)にて、敗者復活戦のために択一式が用いられていたのですが、その際に出た問題として
「空を飛ぶ蜘蛛がいる。OかXか」
というものがありました。
この答えはもちろんO。前述の戦法が綺麗に突き刺さる形になりました。

バトルロワイアル形式

各選手がライフとなる点数を持ち、正解者は任意の選手のライフを減らしていけるというもので、逆にライフがなくなってしまった選手は失格となります。
1人で正解を出し続けると他の選手から集中攻撃を受けてしまうため、クイズの強さ以外の要素も大きく影響する形式となっています。
この形式がとられた準決勝、Chapter4 “メメント・モリ”では、更に自分のライフを回復できるアイテムや任意の選手を1回休みにできるアイテムが盛り込まれ、よりエンタメ性の強い形式となりました!
試合展開も波乱の連続で、予選を1位で通過した高校生の選手が序盤を有利に進めるも、後半で他選手達から総攻撃を受け、予想外の脱落者となってしまいました。
まさにメメント・モリ(自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな)というタイトルにふさわしい、大盛り上がりの準決勝でした!

サバイバル形式

前述のバトルロワイアル形式と同じく、各選手がライフとなる点数を持ちます。しかし、正解者以外のライフは問題を経るごと減少していくため、まさに正解しなければ生き残れない文字通りのサバイバルとなる形式です。
この形式は決勝戦のChapter5 “最終決戦”で採用されました。
続々と他選手が脱落していく中、最後に残ったのは初の決勝進出となった選手と3連覇がかかった選手の新旧一騎打ちと相成り、結果は後者の選手に軍配が上がりました。

主催 福岡合同例会より

最後に、取材を快諾頂いた福岡合同例会の総括である鶴田さんにお話を伺いました。

Q.発足の経緯、理念について

A.アニメで競技クイズが取り上げられたこと等を受け、より福岡の競技クイズシーンを盛り上げ、興味を持った方の第一歩を応援するため、昨年(2018年)に、熊本合同例会に倣う形で発足しました。

Q.現状の会員構成について

A.高校生は30~40名で、大学生は15名程度です。

理念の通り総括含む数名を除き、多くの会員はクイズ歴1年未満~数年の初心者とのことでした!

Q.例会の企画について

A.各学校の当番制で企画しており、問題作成も企画者が全て行っています。

この競技クイズの問題作成(作問)、実は答えるより大変なんです……。
難しすぎると参加者が誰も答えられず、簡単すぎると「知識のぶつかり合い」というクイズの大切な要素が薄まってしまい、ただの反射神経バトルになってしまうんですよね。

Q.クイズ初心者の方へ

A.競技クイズは「ベースの知識勝負」になってしまい、自分より長くやっている人には勝てないんじゃないか? と考える方がいらっしゃいますが、競技クイズの楽しみ方はそれだけではありません。まずはボタンを押して光らせてみてください!

皆さんにもこれまで生きてきた中で大好きなものがありますよね。
好きなアーティストのアルバム名とか、映画の登場人物名とか。
きっと「訊かれた瞬間に反射で答えられる何か」があるはずです。
その「愛と熱意」は、時として「雑学王の早押し」を凌駕します。
私も初めて競技クイズに参加した時、他の方よりも早く「パドック」と答えられた瞬間のことは忘れられません。
あの高揚は、その日他の問題が1つも答えられなくてもどうでもよくなる程のものです。
「私はOOが好きだ!」
と胸を張って言える人、是非競技クイズに飛び込んでみませんか?

関連記事

page top